訪問看護指示書とは?
まずは訪問看護指示書の基本を確認しましょう。
介護保険や医療保険を利用して訪問看護サービスを受けるには訪問看護指示書の交付が必須となります。
条件により必要な指示書も異なります。
訪問看護指示書は全部で5種類あります。
詳細はこちらの記事でも紹介していますので確認してください。
今回は、①訪問看護指示書を確認するときのポイントについてお伝えしていきます。
訪問看護指示書の見方のポイント
では、訪問看護指示書ごとに特に注意すべきポイントをまとめていきます。
間違いが多い例もあげていきます。
1. 指示期間
指示期間の有効期限は以下の通りです。
指示期間が、有効期限内であるか確認しましょう。
よくある間違いは
例)
「〇年1月15日~〇年6月15日」
です。
こちらでは指示期間が6ヶ月と1日になってしまいます。
指示期間が6ヶ月の場合、正しくは「〇年1月15日~〇年6月14日」になります。
ちなみに特別訪問看護指示書は原則月1回交付が可能ですが、
・気管カニューレの使用
・真皮を越える褥瘡がある場合
月2回の交付が可能になります。
在宅患者訪問点滴注射指示書は回数制限なく交付ができます。
月に何回交付されているのかも確認し、有効な訪問看護指示書であることを確認しましょう。
特別訪問看護指示書の詳細については以下でも確認してください。
2. 主たる傷病名
医療保険・介護保険のどちらが適応になるのか重要な項目です。
利用者さんの経済的な負担にも影響してきます。
要支援・要介護認定を受けていても、厚生労働大臣が定める者(別表第七)は医療保険適応になります。
別表第七
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患
多系統萎縮症
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
診断名と訪問看護指示書に記載のある主たる傷病名に相違がないか確認し、必要時ケアマネージャーにも報告しましょう。
また、精神科訪問看護指示書は認知症の診断があれば、原則介護保険が優先されるため注意が必要です。
医療保険適応の場合でよくある間違いをあげると
・悪性腫瘍の「末期」や「ターミナル」の記載がない
・頸髄損傷の場合,「頸椎損傷」や「胸腰部脊髄損傷」といった損傷部位が異なっていないか
・人工呼吸器を使用している場合, ASVやCPAPと記載がある
SAS(睡眠時無呼吸症候群)に対するASVやCPAPは、別表7の「人工呼吸器」には含まれないとされていましたが、主治医が「在宅人工呼吸指導管理料」、「人工呼吸器加算の2」を算定されている場合は「人工呼吸器」に含まれますので注意が必要です。
3. 現在の状況
特別管理加算に影響する項目になります。利用者の状態と間違いがないか確認しましょう。
褥瘡の深さなどは日々変化する項目ですので注意が必要です。
また、「ターミナル」や「余命」などは、「主たる傷病名」に記載がなくても、こちらの項目に記載があれば問題はありません。
4.留意事項及び指示事項
Ⅱ-1 リハビリテーションの項目に指示内容の記載等がないと、リハビリ専門職が利用者を訪問することができません。また、令和3年の介護報酬改定によって「頻度の記載」も必要になったことにも注意してください。
5.他の訪問看護ステーションの指示
ステーション間で情報や計画書・報告書の共有が義務となります。
以下の条件で複数介入することができます。
図
6. 医療機関
最後に医療機関名です。記載漏れがないか確認しましょう。
訪問看護指示書は印刷されていても問題はありませんが、印刷後の捺印が必要です。
また、「訪問看護指示書」と「特別訪問看護指示書」は利用者1人に対して一人の医師から交付されるものであり、複数の医師から指示書を受けることはできません。「訪問看護指示書」と「特別訪問看護指示書」の医師が同一であることも確認しましょう。
訪問看護指示書の確認すべき項目は以上になります。
他指示書での確認事項
他の指示書でも確認事項があるので簡単に紹介していきます。
特別訪問看護指示書
週に4回以上訪問看護を行えているか?
特別訪問看護指示書の交付条件として、週に4日以上の訪問看護の必要性があることが条件です。しかし、入院した・死亡した、曜日によって訪問ができなかったなど週に4日訪問看護を行えなかった場合もあります。その場合は、週に4日以上訪問できなかった理由を記載してレセプト請求を行う必要があります。
在宅患者訪問点滴注射指示書
週に3回以上訪問看護で点滴を行っているか?
在宅患者訪問点滴指示書の指示期間に週に3日以上点滴を行えたのか確認しましょう。医師が往診時に点滴を行った場合はカウントできません。訪問看護内で点滴を3日以上行ったのか確認しましょう。
精神科訪問看護指示書
退院後3か月たっても週に5日訪問していないか?
精神科訪問看護指示書は、他の指示書とは異なり退院後3か月は週5日の訪問ができます。3ヶ月経過後も週3日を超える訪問を行っていないか確認しましょう。
指示書の条件を満たさない場合、適応される保険が変わってしまったり、レセプト請求が行えない場合がでてきますのでしっかり確認していきましょう。