今回は、高額療養費制度についてアニメ動画で解説しています。
医療職の方、一般の方も、高額療養費制度の名前は聞いたことがある方は多いと思います。
医療費が安くなることは知っているけど、具体的なことまでは知らない方は多いのではないでしょうか?
この動画を最後まで見ることで、患者さんに詳しく説明できたり、友人にこういう制度があるよと申請の方法などをお伝えすることができます。
それでは早速いきましょう!
プロフィール
IT営業3年→看護師→Web開発者
“ITで医療、介護業界の業務改善に貢献する”ためにシステム開発しています。
メディア掲載実績
【月刊】エキスパートナース2021年9月号https://www.expertnurse.shorinsha.co.jp/posts/20173102
次世代訪問看護師紹介特別編vol.44|江口仁紹さん〜特別編〜
https://visitcare-plus.co.jp/nextnurse-7484/
他にも、アニメで解説していますのでお時間あるときにどうぞ!
(以下の文章は、動画を文字起こしした内容になります。)
高額療養費制度とは
高額治療に備える制度であり、1ヶ月の医療費のうち限度額を超えた分は、
お金が戻ってくる制度
突然ですが、大腸がん治療にかかる医療費の総額と、平均入院日数をご存知でしょうか?
こちらの本によれば、
平均97万4000円、平均入院日数12.2日だそうです。
いやいや、100万円も払えないよ!と思われるかもしれませんが、
皆さんは医療保険に加入しているので、1〜3割の負担額ですみます。
この場合だと、3割負担で約29万2000円、1割負担で約9万7000円になります。
そして、高額療養費制度を申請すると、さらに払い戻しがあるということです。
今回は、
1高額療養費制度の仕組み
2.高額療養費制度の申請方法
3,高額長期疾病の特例
4.利用する際の注意点
この順番で解説していきます。
1高額療養費制度の仕組み
自己負担限度額を超えた場合に、限度額を越えた額が払い戻される制度ですが、
この”自己負担限度額”はどうやって決められるのか。
それは、所得と年齢になります。
一覧表をご覧ください。
70歳未満の場合
70歳以上の場合
例えば、年収500万の55歳男性が大腸がんで入院し、医療費が総額100万円かかったとします。この場合、高額療養費制度を活用すると、いくらになるのでしょうか?
この表でいうと、
区分ウにあてはまります。
7割は医療保険、3割は窓口負担になります。
患者窓口負担のうち、自己負担限度額の計算式で、
自己負担は、87,430円になります。
つまり、212.570円戻ってくるというわけです。
表の多数回該当はどういう意味かお分かりでしょうか?
同一の世帯が過去12ヶ月以内に4回以上、自己負担限度額に達した時に、多数該当になる
ボクはこの制度を知った時、何て日本は素晴らしい国なんだ!と感動しましたね。
2.高額療養費制度の申請方法
申請は、自分が加入している公的な医療保険に、支給申請書を提出または郵送します。
健康保険(協会けんぽ)
健康保険証に記載されている協会けんぽの支部に「高額療養費支給申請書」を提出します。申請書は全国健康保険協会のウェブサイトからダウンロードが可能です。
国民健康保険
お住まいの役所の担当窓口に問い合わせてください。
3.高額長期疾病の特例
以下に、該当する治療を受ける場合は、原則1ヶ月の自己負担限度額が1万円となります。
なぜなら、高額な治療を長い間受け続けるのは、患者にとっての経済的負担が大きいためです。
①人工腎臓(血液透析など)を実施している慢性腎不全
(70歳未満で、年収770万円以上の上位所得者の自己負担限度額は2万円)
②血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第VIII因子障害、または先天性血液凝固第IX因子障害
③抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染含み、血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症に関する治療を受けている人に限る)
「特定疾病療養受療証」の交付を受けなければならず、自身が加入している健康保険に申請します。
②と③に関しては、都道府県にも申請をします。自己負担限度額10,000円のすべてを都道府県が公費で負担しますので、②、③は患者の窓口での負担はありません。
4.利用する際の注意点
注意点は3つあります。
1.高額療養費制度の対象とならないもの
高額療養費制度は、対象にならないものがあります。
例えば、自由診療。自由診療とは、保険診療外の治療のことです。
例えば、美容整形や、国内未承認の抗がん剤などによる治療などです。
これらは、自由診療となりますので、対象外です。
その他にも、差額ベッド代、食事代は対象外です。
2.申請から支給までの時間
支給までには時間がかかることも注意点です。少なくとも3ヶ月程度はかかります。
そのため、まずは窓口で一般的な自己負担を立て替えておく必要があります。
例えば、30万自己負担があるとしたら、30万をまずは建て替えておかなければなりません。
もし、金銭的な事情で、支払いが不可能な場合、次の方法があります。
75歳以上の場合は、医療機関の窓口で、「後期高齢者医療被保険者証」を提示すれば、自己負担限度額までおさえることが可能です。
75歳未満の場合
もしも、立て替える余裕がない!という場合は、「限度額適用認定証」が使えます。
医療機関の窓口にこの認定証を提示することで、高額療養費制度の自己負担額におさえることができます。
では、この限度額適用認定証は、どこで申請するのか?
それはご自身が加入している公的医療保険の担当窓口です。
例えば、協会けんぽ(全国健康保険協会)であれば、各都道府県支部に、必要な書類を付けて申請書を提出します。
国民健康保険であれば、お住まいの市区町村の担当窓口に申請します。
みなさん、ここで疑問はなかったでしょうか?
この一時的な立て替えは誰が行ってくれているのか?
もうお分かりと思いますが、保険者が立て替えてくれています。
限度額適用認定証は、入院や手術が決まれば、すぐに申請することをおすすめします。
・有効期限は最長1年
・国民健康保険では、毎年7月31日で期限が切れます。
その際は、再度申請する必要があるのでご注意ください。
3.月ごとに区切って計算される
高額療養費制度は、1ヶ月の医療費の自己負担額の一定の基準を越えた時に、
支給が受けられます。
この1ヶ月とは、月初から、月末までの1ヶ月ということに注意してください。
たとえば、月末に入院して手術、翌月1週間程度入院した場合は、限度額に達しておらず、まったく受け取れないケースもあります。
また、高額療養費制度は、医療費を支払った翌月の1日から2年以内であれば、過去に遡って申請できます。
心当たりがあったときには、ご自身が加入している医療保険の担当窓口まで相談してみてください。
覚えておきたいポイントとして、
家族の医療費を合算することが可能。というルールがあります。
複数回の受診や、同じ医療保険に加入している家族がそれぞれ窓口で支払った医療費の合算が高額になった場合でも、制度は利用可能です。
どういうことかというと、例えば年金暮らしの70代の夫婦であれは、1ヶ月の自己負担額が10万円だったとします。
こちらの表では、自己負担が5万7600円なので、差額分が払い戻されます。
それではまとめいきます!
1高額療養費制度の仕組み
高額療養費制度とは、
高額治療に備える制度であり、1ヶ月の医療費のうち限度額を超えた分は、
お金が戻ってくる制度です。
自己負担上限限度額は所得と年齢により異なります。
2.高額療養費制度の申請方法
申請は、自分が加入している公的な医療保険に、支給申請書を提出または郵送します。
例えば、協会けんぽ 協会の場合、各都道府県支部にお問い合わせください。国民健康保険の場合は、
市区町村により異なりますので、各役所の国民健康保険の窓口でご確認ください。
3,高額長期疾病の特例
以下に、該当する治療を受ける場合は、原則1ヶ月の自己負担限度額が1万円となります。
①人工腎臓(血液透析など)を実施している慢性腎不全
(70歳未満で、年収770万円以上の上位所得者の自己負担限度額は2万円)
②血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第VIII因子障害、または先天性血液凝固第IX因子障害
③抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染含み、血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症に関する治療を受けている人に限る)
4.利用する際の注意点
・自由診療や、・差額ベッド代・食事代は支給の対象にならない。
・支給までは3ヶ月程度かかってしまう。立て替える場合は、「限度額適用認定証」が使える
・高額療養費制度は月ごとに区切って計算される
・家族の医療費を合算することが可能
■参考にした書籍、サイト
・大切な人が入院・手術になったときの病気の値段がわかる本
https://www.amazon.co.jp/dp/4776210258/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_C2Q7HZ4V1KCGVRRCRNC7
・医療従事者のためわかりやすい公費負担の知識
https://www.amazon.co.jp/dp/4816366598/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_7S8VTRW947WKGM7KC4KK
・2020-2021年度版 イラスト図解 医療費のしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4534057768/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_PZ7AEHTBF6FEBF4CD29H
・全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/
・高額療養費制度の表
https://www.hokende.com/life-insurance/medical/columns/about_medical_insurance13
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